第29回研究協議会並びに総会の日程及び内容について

岩 手 大 会

 

1目 的
全国公立高等学校及び盲・ろう・養護学校の事務長の職務について研究し、都道府県市並びに会員相互の情報交換を行い、学校の管理運営を円滑にするため協議をする。併せて、会員の研鑽と資質の向上を図り、もって学校教育の進展に寄与することを目的とする。
2期 日
平成16年8月19日(木)
地区代表者会・理事会、開会式・文部科学省講話・総会・研究協議会
平成16年8月20日(金)
研究協議会(分科会・記念講演)閉会式
3主 催
全国公立学校事務長会
4後 援
文部科学省
岩手県教育委員会
盛岡市教育委員会
岩手県高等学校長協会

5会 場
『岩手県民会館』(岩手県盛岡市丸内13番1号)
[交通機関] JR「東北本線」線『盛岡駅』下車。徒歩20分。バス「バスセンター行き」の『県庁・市役所前』下車徒歩1分。

 

6参加者

全国の公立高等学校、盲・ろう・養護学校の事務長

7日 程

 
8大会次第
第1日 平成16年8月19日(木)[正午から受付開始]
開会式13:00~14:00
文部省講話14:00~15:00
総会・研究協議会15:00~17:00
研究協議会

第2日 平成16年8月20日(金)[午前9時30分から受付開始]
分科会10:00~12:00
第1分科会
午前10時~12時 「大ホール」
 テーマ「逼迫する地方財政と効率的な学校運営」(パネルディスカッション)
☆第1分科会の紹介
第1分科会では、近年の長期にわたる景気低迷が、国、地方を問わず税収の落ち込みを生じ、行政経費である歳入の確保が困難な時代にあり、全国で設備の先送りや学校運営の一律削減などの対策がとられていることを踏まえ、国の教育財政の専門家である国立教育政策研究所の本田主任研究官をコーディネーターにお迎えして、学校長に大幅な裁量権を付与した「自律経営推進予算制度」が導入された東京都をはじめ、全国各地での現状報告や研究成果等が次のパネラー(敬称略)から報告されます。

司会進行 青森県立青森東高等学校事務長 落合繁光
[コーディネーター(座長)紹介]
国立教育政策研究所教育政策・評価研究部 主任研究官 本 多 正 人 氏
[主要職歴等]
昭和41年生まれ。
平成8年4月 東京大学大学院教育学研究科助手 平成9年7月 国立教育研究所教育政策研究部研究員 平成14年7月 現職

[研究課題]
調査研究等特別推進経費による研究「教育の地方分権化の実現過程と教育組織の再構築に関する総合的研究」(平成15~18年度)
研究分担者[事務局担当・国内質問紙調査担当]等
[主要著書・論文]
「教育財政の政策と法制度」(分担執筆)エイデル研究所 平成8年3月 「分権改革と教育行政」(同)ぎょうせい 平成12年6月 「教育経営研究の理論と軌跡」(同)玉川大学出版部 平成12年12月 「教育委員会制度再編の政治と行政」(編著)多賀出版 平成15年1月
[パネラー(発表者)紹介]
◇東京都立学校事務長会(関東地区)「校長のリーダーシップと自律経営推進予算」
○東京都の財政事情と教育予算の動向 ○運営組織・職員体制のあり方(教育職の主幹職、副校長、学校経営への地域の教育力等の導入など)

東京都立東村山高等学校事務長 高松良員


◇石川県立学校事務長会(北信越地区)

「知恵と工夫のやりくり学校経営」
○石川県を取り巻く財政環境と教育予算の動向 ○運営組織・職員体制のあり方(職員定数の削減など) ○予算編成・執行のあり方(「石川の学校教育ビジョン」と学校の自主性・自立性を尊重した「学校活性化マイプラン」の提案制度の導入、予算の傾斜配分の大胆実施など)
石川県立泉丘高等学校事務長 和泉  弘

◇奈良県立学校事務長会(近畿地区)
「より効率的で弾力的な学校運営を目指して」
○本県の財政状況と教育予算の状況 ○本校における効率的な予算執行に向けての取り組み(視聴覚機器等の保有備品の周知保有教材・教具の有効活用など) 
○今後の学校運営への提言(「学校長の裁量権の拡大と事務長のリーダーシップの発揮」「県立学校と県教育委員会等の連携」「教員の意識改革」など)
奈良県立ろう学校事務長 井久保恵之

◇沖縄県立学校事務長会(九州地区)
「逼迫する地方財政と効率的な学校運営」
○沖縄県の財政状況と教育予算の状況 ○運営組織・職員体制のあり方(教頭との情報交換、四役会議の活用など)
○予算編成・執行のあり方(望まれる事務長像など)
沖縄県立宮古工業高等学校事務長 砂川吉章

(※当該分科会活動は平成15年度の本部研究助成成費対象となった取り組みです。)

第2分科会

午前10時~12時「中ホール」
テーマ「学校運営と私費に関わる諸問題と解決」
第2分科会では、「学校運営と私費に関わる諸問題と解決」をテーマに、各地における「私費」をめぐる研究、取り組み事例が、発表。研究協議されます。
私費をめぐっては、この数年、1.保護者の負担軽減や2.会計事務上の事故防止等を観点に、全国でさまざまな取り組みが行われており、今回は教育委員会等とともに、県事務長会として取り組みを進めてきた四つの事例です。ぜひ会員の皆さまの研究討議への参加をお待ちしています。

(司会進行) 福島県立福島高等学校事務長 藤 田 謙 吉
[発表者及び発表要旨](発表順。敬称略)
1 北海道公立学校事務長会(北海道地区)
「私費会計の適正執行への取り組みについて」
北海道室蘭東高校事務長 高坂典道
[要旨] 私費会計については、公費に準じた厳正な処理が求められ、道教育委員会や学校でさまざまな取組みがなされてきたが、不適切な事務処理の発生が続いた。特に、平成14年度には、道立学校及び小中学校において、複数の金銭事故が発生する事態となり、急遽、平成15年6月に北海道教育委員会が中心となり、高等学校長協会、事務長会等の関係団体役員で構成する「学校事務改善協議会」を設置し、平成16年2月に学校徴収金事務の改善策を取りまとめた。学校事務改善協議会における各団体の取り組み内容等を報告する。
(1)事務長会の取り組み (2)校長会・教頭会の取り組み (3)北海道教育委員会の取り組み
また、当該協議会において、事務長会の作成した「私費会計事務処理要項(準則案)を基に検討・協議を進めて完成させた「私費会計事務処理マニュアル」等を紹介し、今後の課題等を総括する。

2 岩手県公立学校事務長会(東北地区)
「PTA等の団体徴収金および学校徴収金に係る諸問題と改善について」
岩手県立盛岡農業高等学校事務長 及川敏夫

[要旨] 岩手県公立学校事務長会での取り組みは早く、平成11年度の定期総会で、PTAや学校後援団体が徴収する団体徴収金と校長の責任において徴収する学校徴収金、いわゆる「私費」に係る諸問題の改善に取組むことが決定された。取組みの発端は、私費の取扱いや使途について、さまざまな問題点等が指摘される一方で、情報公開が進む中、その透明性、適正化が求められ、学校でも説明責任等を果たす必要に迫られるに至った。取組みは、始めに、私費会計の実態調査(平成11年度)、集計分析(平成12年度)、最後に問題点の整理・改善策の策定、関係機関への提言(平成13年度)という手順・流れとなった。団体徴収金の諸問題と改善策実態調査の結果分析等を通じた問題点は次の4点であり、今回は、提言された改善策の措置状況等を団体徴収金を中心に報告する。
(1)学校と団体の組織的問題と改善の方向性 (2)学校職員が団体業務に従事する場合の服務上の問題点と改善の方向性 (3)団体徴収金の支出内容に関する問題点と改善の方向性 (4)団体会計の予算執行上の問題点と改善の方向性

3 三重県公立学校事長会(東海地区)
「三重県における県費外会計等適正化の取り組みについて」
三重県立名張高等学校事務長 川合三津夫
[要旨] 三重県の県立学校においては、「よりよい教育環境で子供の教育が行なわれるように」との学校関係者の思いから、長年にわたって、月々徴収されるPTA会費等から学校運営経費に支援を得ていた実態があった。一方、平成7年度に全庁的な旅費の不適正問題が発生し、県民やマスコミから厳しい批判の声が巻き起こった。その後、県知事部局、県教育委員会事務局などで予算執行の適正化の取組みが始まり、その中で、県立学校における県費外会計(PTA費、教育振興費(県費外の私費による学校運営への支援費をいう。以下、同じ。))のあり方についても適正化の取組みがスタートした。さまざまな紆余曲折があったが、最終的には教育委員会事務局を中心に、校長会・教頭会・事務長会・事務研究会等が結束して「生徒・保護者のためになる改革」の視点で取り組めたことに大きな教訓があり、これまでの8年間にわたる取組みの中で、事務長会、事務研究会が常にその改革の中心となって役割を果たしてきたことを総括し、県費外会計等の適正化についての主な取組みを報告する。
(1)PTA費、教育振興費(県費外)による学校活動への支援の問題 (2)県費外会計(学年費、生徒会費、クラブ費等)の事務処理の見直し問題 (3)生徒斡旋物品の契約に係る業者選定方法・価格の適正化問題

4 広島県公立学校事務長会(中・四国地区)
「広島県における私費会計の適正な執行への取り組みについて」
広島県立皆実高等学校事務長 島田雅治

[要旨] 平成14年1月広島県教育委員会は、県立学校の教育活動を進める上で必要なもののうち、受益者負担の考え方に基づいて保護者が負担している経費等を取扱う学校諸費会計等について、公費に準じて適正に事務を処理、適正かつ効率的な執行を確保し、保護者、県民の信頼に応えるために、「学校諸費会計等取扱要綱」「学校諸費会計等取扱マニュアル」を定めた。しかしながら、平成15年度に、学校で不適切な会計処理が発生、「学校諸費会計等改善委員会」が設置され、県教育委員会・校長会・事務長会がそれぞれの立場で積極的に検討し改善案を提言することとなった。この結果を受けて、平成15年8月に当該委員会として再発防止策が取りまとめられ、平成16年1月に「マニュアル」が改正され、次のような具体策に取り組むこととなったことを、報告する。
(1)職員研修の充実 (2)文書による組織的な意思決定の徹底 (3)事務処理体制の整備 (4)預金通帳及び届出印の管理 (5)事務引継の円滑・適正な実施 (6)点検・監査等のチェック体制の整備 (7)公開性・透明性の確保 等

記念講演
平成16年8月20日(金)午後1時15分~2時45分「岩手県民会館大ホール」

「新しい時代の公立学校の役割と学校づくり」 
講師岩手県立大学学長 西沢潤一氏((社)日本原子力産業会議会長 (社)日本工学アカデミー会長)

【講師紹介】
大正15年9月 宮城県仙台市生まれ。 昭和23年3月 東北大学工学部(電気工学科)卒業、工学博士。 昭和29年5月 東北大学助教授(電気通信研究所) 昭和37年12月 東北大学教授(電気通信研究所)以来、(財)半導体研究振興会 半導体研究所長、東北大学電気通信研究所長等を歴任。 平成2年11月 東北大学総長(平成8年11月まで)。 平成9年4月 東北自治総合研修センター館長(~現在)。 平成9年9月 宮城大学名誉学長(~現在)。 平成10年4月 岩手県立大学長 
今日まで、半導体レーザー、光ファイバー、光検波器の発明・研究等で、わが国の光通信の基礎研究に貢献。斯界の第一人者。
昭和49年 日本学士院賞昭和58年 文化功労者 平成元年 文化勲章^t平成12年 2000IEEE EDISON MEDAL 平成14年 勲一等端宝章 同   IEEE西澤メダル創設決定 昭和63年 ロシア科学アカデミー外国人会員 平成7年 日本学士院会員

【主な著書】 
「闘う独創技術」(昭和56年) 「愚直一徹|私の履歴書」(昭和60年) 「西澤潤一の独創開発論」(昭和61年) 「私のロマンと科学」(平成2年) 「独創教育が日本を救う」(平成3年) 「東北の時代」(平成7年) 「教育の目的再考」(平成8年) 「教育亡国を救う」(平成12年)赤の発見 青の発見」<共著>(平成13年)「日本人よロマンを」(平成14年)

平成15年度研究協議会並びに総会概略

◇はじめに
  本年度の研究協議会並びに総会は、8月21日(木)22日(金)東京都文京区文京シッビクホールで行われました。大会には全国から多くの会員の皆様にご参加をいただき、盛会裡に終了できましたことを御礼申し上げます。

◇国等の状況
  平成15年3月中央教育審議会は「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画の在り方について」の答申を行い、また、5月15日文部科学大臣は「今後の初等中等教育改革の推進方策について」を中教審に諮問しました。また、「公務員制度改革」については本年度中に改革案が提案される予定です。
  学校においては、改革の趣旨を理解し、具体化・実践化する段階に入っており、事務長は学校経営を担う一翼として、校長を補佐し、これらの課題に応えることが求められています。

◇事務長の置かれている状況
  このような状況の中、事務長の管理職手当支給人員率は3年連続で70%を超え、管理職としての位置づけが全国的に定着してきました。また、級の格付は課長級22.5%、課長補佐級64.1%となりました。一方、事務長に対する財務の専決権の付与は約20県市に留まっており、今後専決権・代決権を拡大することは学校経営において責任を果たす上で重要な課題です。

◇全国事務長会の活動について
  今大会では、事務長への期待の高まりや事務長の置かれている状況を判断し、活動の重点を研究・研修活動に置き、文部科学省や都道府県市等に政策提言できるよう取り組む方針を提案し、承認をいただきました。

◇研究協議会について
  第1分科会では宮崎県の安藤事務長を代表とする研究「学校管理運営規則の制定に伴う学校運営組織の再整備と事務長の役割について」として、規則制定に係る事務長会の取り組みを報告いただきました。また、北海道仲尾事務長を代表とする研究「学校の事務管理の進化を目指して-学校事務センター方式について-」では、これからの事務室の在り方についての提案がありました。

  第2分科会では、東京都立学校事務長会と本部の共同研究「米国における今日の学校経営」として、米国ウィスコンシン州メナーシャ市学校区ビジネスマネージャーのマーク・ヴァン・ダージー氏をお迎えし、米国の公立学校制度とスクール・ビジネスマネージャーの役割についての協議を深めました。

◇文部科学省講話
  文部科学省からは、初等中等教育局企画官 森 晃憲 氏 より、今日の教育改革や今後の動向につて講話をいただいた。

◇講 演
  講演では、作家の童門冬二氏が「リーダーとそれを支える参謀たち」と題して、歴史上に見る補佐役についての示唆に富むお話をいただきました。

◇本部活動
  研究部は、「公務員制度改革」についての研究を行い、改革大綱の概要、東京都の人事制度、事務長の任用等の報告を行いました。来年度も引き続き研究する予定です。

  調査部は、全国基本調査を調査分析の上、事務長の職務等についての全国的な状況を報告しました。今後とも調査を継続の上、分析力を高め、有用な資料提供に努めていきます。

  企画部では、「事務長会の現状と課題」を各県市の状況や活動が情報収集できるよう紙面を改めました。また、会報やホームページでは、更新回数の増加や各県市の情報提供に努め、情報提供を図っていきます。

  以上、概略ですが大会報告といたします。詳細は後日、ホームページまたは会報で報告いたします。

  なお、研究協議会の資料「事務長の職務」は多少残りがあります。学校経営を考える上で役に立つ内容が掲載されております。ご希望の方は事務局まで連絡ください。

 
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